都会に住む人々のオアシス「目黒天空庭園」

天空高く、晴れた日には豊かな青空がはるか遠くまで望める敷地に広がる緑豊かな空間。
 
東急田園都市線池尻大橋駅のそば、国道246号線沿いの大橋JCTの屋上を緑地化し、2013年にオープンした「目黒天空庭園」は、新しいタイプの公園として、安らげる場所の少ない都民の憩いの場になっている。
 
池尻大橋は、若者文化の発信地渋谷と、おしゃれな街として注目を集める三軒茶屋をつなぐ街として整備され、オフィスビルや高層マンション、個人商店がほどよく調和する外観の、落ち着いたたたずまいが印象的。
 
目黒天空庭園は、地上から高い空間にそびえながら、そんな池尻大橋の街になじみ、一歩足を踏み入れれば、まさに潤いのオアシスと呼べるような開放空間が眼前に広がっている。
 
緩やかな傾斜のついた庭園内には、手入れされた木々や芝生を縫うように歩道が整備され、眼下に高速道路を望む眺望の中で、一味違う趣の散策を楽しむことができる。
 
晴れた日には、降り注ぐ日差しを避けて、歩道沿いのあずまやで休憩すれば、地上の空気とはまた違った心地よい風が吹きぬけ、なんとも爽快な気分を味わうことができ、また雨の日には、豊かな木々から立ちこめる雨のにおいと、四方に見はるかす雨にけぶる遠くの景色が、どことなく非日常的な空間を醸し、気分を落ち着かせてくれる。
 
開園した2013年にグッドデザイン賞を受賞し、自然あふれる空間でありながら近未来的な風景を持つ「目黒天空庭園」。散歩がてら訪れてみてはいかがだろうか。

都会に残る江戸情緒「世田谷代官屋敷」

お洒落な店と下町情緒が混在する街三軒茶屋を始発として、静かな住宅街を走る路面電車、東急世田谷線
走行距離のべ5kmほどの道のりを、2両編成でゆっくり走る世田谷線は、環七の踏切で信号待ちをする姿が落ち着いた雰囲気を醸し、心和ませてくれる。 
しかし、その沿線には歴史上著名な人物にまつわる史跡が点在し、それらを見てまわることでプチ歴史巡りともいうべき旅が楽しめる。
その中のひとつ、「上町」駅下車徒歩5分のところにある「世田谷代官屋敷」。
江戸時代中期に、彦根藩世田谷領20カ村の代官を代々世襲した大場家の役宅で、都内で初めて、国の重要文化財に指定された由緒ある建造物。
無料で入ることができ、現在残っているのは主屋、表門、そして玉砂利が敷き詰められたお白州跡。
建物の中に入ることはできないが、風情ある純和風のつくりが、往時の雰囲気を偲ばせてくれる。
主屋は茅葺き屋根で、武家の屋敷というよりは、郊外の豪農の民家ともいうべき外観を醸し、人々の目に親近感を感じさせる。
その一方で、表門にある、太い格子の入ったいわゆる「武者窓」は、武家屋敷ならではの風格を感じさせるつくりで、近現代の建物ではまずお目にかかることのないもの。
近隣の街並みも静かで落ち着いており、まるで時代劇の世界にタイムスリップしたような、日常を忘れさせる雰囲気。
屋敷周辺では、世田谷名物「ボロ市」やホタル祭りも開催され、都心近くで交通の要路である
国道246号線沿いにあって、近隣住民の大切な息抜きの場、憩いの場となっている。
日常の合間、一息つきたいときにぶらりと訪れてみるのもいいかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

世田谷公園:緑あふれるプレーパークで憩いのひとときを

雑誌の撮影場所にもよく使われ、近隣の人々にとっての憩いの場所になっている世田谷公園。

 若者文化の発信地渋谷を抜け池尻大橋駅付近に来ると、整然としたアパート群が並び立つ一角、広い敷地を持つ池尻小学校の向かいに、緑豊かな世田谷公園が見えてくる。

 すぐそばには高速道路が入り組む大橋JCTがあり、付近に高層ビルが立ち並ぶ中にあって、園内の広々とした野球場やテニスコートが、開放的な気分にさせてくれる。

 禁止事項はいっさい設けられず、園内で遊ぶ人たちの自主性、先進性を重視するプレーパーク。

 なかでも昭和57年に設置され、休日に園内に植えられた木々の間を走るミニSL[ちびくろ号」は、子供たちに大人気。

 さらに公園の片隅には、実際に戦前から昭和47年まで運行していたSL車輛も展示され、大人たちを日常を忘れた懐かしいひとときへといざなう。

 鬱蒼とした木立の間をめぐる緑道は、ほどよく日差しが遮られ、早朝のマラソンコースや、サイクリングコースにもうってつけ。

 天気の良い日には、公園の中心にある大きな噴水のまわりを囲む、なだらかな傾斜のついた芝生の上に寝ころび、降り注ぐ日差しを浴びながら昼寝をするのも良いだろう。

 家族連れやカップル、犬を散歩する人たちなどでほどよい賑わいを見せる世田谷公園は、訪れる人々に心豊かな時間と空間を与え、日々の忙しさから解放させてくれる場所。

 晴れた休日などに、東京ドーム1.5倍の広さの園内を一巡し、豊かな自然に触れ、ゆったりとした空間の中で心身ともにリフレッシュしてみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

シックで都会的な代官山で、開放感溢れる大人のひとときを

渋谷に隣接し、行き交う人々の多彩なファッションが通りを彩る、おしゃれでハイセンスな街代官山。

常にポップなカルチャーを発信し続ける街渋谷を抜け西へ向かうと、国道246号線を取りまく風景が次第に、オフィスビルが点在する静かな住宅街へと変わっていく。

その途中、渋谷を背にし目黒方面を望むと、雰囲気が一変した街並みがあらわれる。

高台に位置する景色のよいロケーションに、異国情緒漂う外国の大使館が点在し、道沿いには、現代的でアーティスティックなデザインの建造物が立ち並び、道行く人の目を楽しませてくれる代官山の街。

デートスポットの定番として有名な「蔦屋書店」は、店内を一巡りするだけで、新刊から珍しい古書まで、日ごろ目にしない多彩なジャンルの書籍が並び、大いに好奇心をそそられる。

店の外回りの舗道も広々として開放感溢れ、外国の観光客やカップル、家族連れなどで週末は活気ある賑わいを見せている。

ほかにも、オープンテラスが開放的なイタリアンカフェ「ミケランジェロ」、リゾート地のようなたたずまいのダイニングバー「アイヴィープレイス」、蔦屋の上階にあり、読書をしながらお酒を楽しむシックな空間「アンジン」など、日常から抜け出たような異空間が凝縮され、人々を楽しませてくれる。

ホットドッグやサンドイッチをテイクアウトし、ゆっくり食べながら散策を楽しんだら、ドラマ「東京ラブストーリー」のロケ地がある「西郷山公園」で一息つけば、豊かな緑で心身ともにリフレッシュすること間違いなし。

忙しい日常から解き放たれたいとき、都会的でありながら、シックで落ち着いた大人の雰囲気溢れる代官山の街並みに触れ、心洗われるひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。

渋谷再開発~消え行くかつての風景に向けて

ファッションやライフスタイルにおいて、常に新しい情報を発信し続ける、活気に満ちた若者の街渋谷。現在、2027年完成へ向けて、渋谷駅とその周辺地区の大幅リニューアル工事が進められ、再開発が行われている。

戦後の高度経済成長期に、交通の要衝として大きな発展を遂げた渋谷駅周辺は、商業施設やオフィスビルがこれでもかと密集しひしめき合い、その風景は雑多でどこか猥雑な雰囲気すら漂わせる。昭和時代を懐かしむ向きには、そんな下町風情にも似た街並みに落ち着きを感じる人も多いだろう。

そうした渋谷駅に、近年になって続々と、埼京線湘南新宿ライン副都心線といった路線が乗り入れ、駅の様相が様変わりしてきており、そんななかで、もっとも古い地下鉄である銀座線渋谷駅も、現在の場所からの移設計画が進められている。

銀座線といえば地下鉄でありながら、表参道~渋谷間において見上げるような高架線上を走行する姿が、長い間渋谷を象徴する風景の一つとなっていたが、駅のリニューアルに伴い、慣れ親しんだその風景も、姿を消してしまうのだろうか。

 長い歴史をもつ渋谷駅周辺には、いつからか通りの掲示板に、日本語と並んで英語、中国語、韓国語の表示がなされ、近頃は街を歩いても日本語より、声高に飛び交う外国語の声がやたらと耳につくほどである。

しかし不思議なことに、そういったグローバルな側面も、渋谷の街に根付く雑多で、どこか懐かしく温かい風情に溶け込み、何の違和感もなく融和しているように感じられるのは、この街の持つ懐の深さゆえであろう。

再開発ののち、渋谷駅周辺は従来の街並みが一新され、新たに大規模なターミナル街として生まれ変わるといわれているが、古くから培われた独自の風情は、この先も消してしまうことなく残し続けてほしい。

渋谷の街に親しみ続けてきた人たちは、そんな願いを秘めつつ、着々と進められるリニューアル工事を見守っているのではないだろうか。