井伊家と招き猫ゆかりの地豪徳寺

2両編成の可愛い外観で地元の人々に親しまれる東急世田谷線。その停車駅である山下駅は、 首都圏の主要路線である、小田急線の豪徳寺駅に連結し、 人の出入りも多い。

その豪徳寺駅の脇に佇むのが、 駅名の由来となった寺院、豪徳寺である。

安政の大獄を断行し、 桜田門外の変で犠牲となった井伊直弼はじめ、井伊家代々の墓がある寺として有名な豪徳寺の近隣には、奇しくも安政の大獄で処刑された吉田松陰を祀る松陰神社がある。

中世以来の古い歴史を持つが、江戸時代に井伊家の菩提寺となったとされる豪徳寺に足を踏み入れると、広い境内の中、藤や紅葉が美しい風情を見せてくれる。また一方で、豪徳寺は招き猫発祥の地ともいわれ、 由緒ある境内に数多の招き猫が並ぶ ミスマッチな面白さに惹かれて訪れる観光客も多いとか。

彦根藩2代藩主井伊直孝が、鷹狩りの帰りに豪雨に遭い、豪徳寺前の大木で雨宿りしていたところ、寺の境内から白い猫が手招きするようなしぐさを見せたので、猫についていき大木を離れたすぐ後、轟音とともに大木に雷が落ち、白い猫に命を救われたと感じた直孝が、感謝の意をこめて寺の伽藍などを整備し、その後豪徳寺は井伊家の菩提寺となり、また境内に招き猫を奉納するようにもなったという。

お洒落な街として知られる世田谷、三軒茶屋界隈だが、入り組んだ街中に足を踏み入れれば、そこかしこに神社や寺社が点在し、また近辺にはのんびりと和やかな、昭和の雰囲気漂う商店街が多いのも魅力の一つ。

天気の良い休みの日などには、歴史ある寺社、神社をめぐり、近隣の店先でゆっくり寛ぐのも良いかもしれない。